観覧者と作品の境界を繋ぐ列車

銭海峰は旅をしながら中国の長距離鉄道「グリーントレイン」を撮影し続けてきた。彼の長年のアーカイブは、長距離鉄道ならではの「生活」を声が聞こえるような生々しさで写し出す。
その「力強い生々しさ」を体験できる空間を演出する方法として、電車を模した展示空間を作る。
その電車の窓の位置に窓と同等サイズの作品を横列に配置し、作品の間に一定の規則で「ただの窓」も配置していく。
窓によって写真と同サイズに切り取られた風景は、鑑賞者と写真と外の人の関係を曖昧に混ざり合わせる。
鑑賞者が乗客となり、生きた場を作り上げていく流動的な空間に仕上げた。

KYOTOGRAPHIE 2016 / 銭海峰「The Green Train 緑皮車」 / 展示空間 / 2016

ROCA